京都の奥座敷"北山"は、これといって秀逸なピークがあるわけではなく、爽快な高原が広がっているでもない、どこにでもあるようなありふれた山域です。そこには"北山杉"の美林に代表される、人の手が入った自然景観と、由良川源流域の芦生や高島トレイルに代表される、ブナやトチの大木が林立する原生的な光景が残された地域とが並存しています。また、いわゆる"鯖街道"とよばれる幾筋かの峠道が集落を結んでおり、風情ある景観が広がっています。霧がたなびく時には、タイムスリップした旅人がふっ～と現れてきそうな錯覚を感じるときもあります。
この山域に心惹かれて撮影に通うようになり10年以上になります。京都市街から1～2時間程度で気軽に訪れ、散策することのできる北山周辺。そこに残され、守られてきた、かけがえのない自然風景の素晴らしさを、写真を通じて少しでも伝えることができれば幸いです。