朝日写真展が最初に開催されてから今年で第69回目を迎えます。その年に生まれた方々が70歳になろうとしているのですから、その歴史の重さに今更ながら感心させられます。当時はドイツ製のフイルムカメラが中心で、現在のカメラ大国日本を誰が想像出来たでしょうか。
　昨年の第68回写真展には全国44都道府県から計543人、3174点の応募がありました。東日本大震災で多大な被害を出した東北３県をはじめ、ここ数年で最大規模のエントリー数となりました。審査の結果、朝日大賞１点、朝日特別賞２点、朝日賞10点、入選100点が選ばれました。上位入賞はアングルの面白さや非日常的な情景、躍動的な瞬間を撮らえたものが多く、完成度が高い作品に仕上がっています。
　今、カメラはその枠を越えて携帯やスマートフォンをはじめ多くのツールに組み込まれています。押せば誰にでも簡単に写せるようになりました。日本人総カメラマン時代になったと言えるでしょう。皆が常にカメラを持ち歩くなかで様々なシャッターチャンスに恵まれると思います。作品に直結するかどうかは別にしても決定的な瞬間を写し撮る機会はアナログ時代とは比べものになりません。昨今のデジタル時代を象徴するような応募作品も見てみたいものです。

全日本写真連盟 関西本部事務局長　小杉豊和