「馬ないたく　打ちそな行きそ　日ならべて　見ても我が行く　志賀にあらなくに」巻第3（263）刑部垂麻呂（オサカベのタリマロ）が作りし一首（馬をそんなにひどく鞭打って急がさないでおくれ、幾日もかけて見て行ける志賀の景色ではないのだから・・・）
　しかし私も周遊道路を巡り足早に通り過ぎて行く一人でした。この万葉歌に出会い、琵琶湖は古代より景勝地であった事に気づきました。
　湖北や湖西には、詠み人の心に残った風景や情景が、今なお残っているのではないかと、新たに歳月をかけ訪ねまわり、感ずるままに出会いを作品としてきました。私の出会いを通して、古代より受け継がれた近江の奥の深い魅力をご覧いただければ幸いです。
　この写真展は、私が病気療養中のため準備は全て大阪芸術大学教授の師岡清高先生にご尽力頂き、拙い私の作品が写真展になりましたことを心より感謝いたします。

山田　勝