朝の散歩道で見慣れたはずの世界に、雑草たちの見事な個性を発見する。人々に愛されることもなく、ぼうぼうと茂り、やがて乱れて枯れ果ててゆく。そんな短い命にもかかわらず、この美しい水の惑星に共に生きるものとして、精一杯主張している。
　刈り取られたばかりの河川敷に、伸びてきた柔らかな緑が朝日を受けて輝いている。草の陰には可憐な花が恥ずかしそうに咲いている。大地に膝をついて覗いてみて初めて気づかされる小さな美の世界である。
　まだ夏だというのに紅葉してフィナーレを飾るもの。秋が来て、実を飛ばし抜け殻になってもなを夕照の中に美しいフォルムを見せてくれるもの、冬が訪れても少し暖かい日が続けば返り咲いて急な雪に凍えている慌てものもいたりして・・・。彼らは今日も小さな虫たちの営みをも包み込んで都会の片隅で素晴らしいハーモニーを奏でています。
　是非、ご高覧下さい。
野々上　朱實