ばんえい（輓曳）競馬は、世界唯一の形態の公営競馬です。かつて北海道開拓時代に人や荷物を運ぶため、現代の車のように使われていた馬搬の名残からきています。ヨーロッパ由来の重種馬と言われる大型馬が、最高で1tの荷物を載せたそりをひきながら障害のあるコースを歩きます。
　帯広駅近くの住宅街にある競馬場の敷地では、調教師や騎手、厩務員、その家族が馬と共に生活しています。夜明け前より始まる調教。そりをひき障害を越える馬の脚の力強さ。荷物を絶対にゴールまで運ぼうという馬の表情。レースで声をあげながら馬の力を発揮させようとする騎手の姿。叱咤激励しながら馬に向き合う厩務員たち。冬の朝の焼けた空に舞う馬の身体から立ちのぼる湯気。昭和40年代以降に建てられた厩舎村の町並み。将来を期待されながら、今は牧場でのんびり暮らす若駒たち。
　2年間、およそ130回に渡る取材、撮影で出会えた景色をまとめました。
ぜひ、ご高覧ください。

【作家紹介】
東京都日野市出身、北海道帯広市在住。
北海道教育大学大学院修了、京都造形芸術大学卒業。
12歳で初めて自分のカメラを持ち、以後フィルム・デジタルカメラを主に使用し趣味として撮影を続ける。
2014年、京都造形芸術大学の卒業制作でばんえい競馬及び重種馬に関わる各所を撮影し始める。

【活動・受賞歴】
第44回 北海道教職員美術展写真部門　特選（2013）
第45回 北海道教職員美術展写真部門　特選（2014）
京都造形芸術大学卒業制作展 写真コース 研究室賞（2015）
第46回 北海道教職員美術展写真部門　招待作家/審査員（2015）

【作品】
「輓曳-World’s　only horse racing-」（2015）