アルプスは美しい。まさに岩と雲、緑と湖、氷河と雪渓、羊や牛と優しい人たちの王国である。その魅力に誘われこの40年来、四季折々幾度となく正に東奔西走そして南船北馬と彷徨した。西武アルプスはド-フィネ山塊から、東部アルプスはホ−エンタウエルン山脈から、ダッハシュタイン山塊に至る800KMに及ぶ山中を、鈍行汽車で、バスで、ヒッチハイクで、時には干し草を運ぶ牛車に乗せてもらい、あきもせずカメラを背中に彷徨った。"汝、旅人には親切を施せ"というゼウスの教えを頑なに守る村人の行為に甘え、峠の農家に泊めてもらったこともある。
　その時々の感動忘れまじく　約2000本の富士フイルムに圧縮、記録してきた。この写真展でこれらの紀行記録を再現展示したい。共感いただければ幸いである。
藪　英世