30年前に、山好きの知人に誘われて、晩秋の尾瀬ケ原に入りました。次週で山小屋が閉鎖される時期、早朝の湿原は朝の凛とした空気感、朝霧に浮かぶ木立の姿がなんとも幻想的で、気品に満ちた佇まいに息をのむ思いでした。
　その時から自然風景に魅せられ、主に長野、新潟、さらに近隣県の野山を駆け巡り、幾多の樹木に対峙して、樹木の歓び、叫び、悲しみを感じ、真摯に向き合う心でレンズを向けてきました。被写体の多くは、人の生活圏に近い領域で、人との関わりをもつ樹木を中心に、自分なりに樹木への想いを馳せ、丁寧に切り取った作品です。
　ご高覧頂き、ご指導ご鞭撻を賜りましたら幸いです。