美しい日本の風景を見つめて十四年。撮りつくせぬほどの出会いに、ただ心ふるわせ向き合う日々を重ねてきました。いまだその本質に迫るには至りませんが、自然の美に触れるほどに、風景を潤し、艶めかせる水の存在が、私を写真の旅へと駆り立てるのです。

「こころ葉」とは平安時代の言葉で「心のありよう」、そして「風情」を意味します。今では使われなくなった言葉ですが、写真の一葉一葉が、景色の潤いに癒やされ、物思う私の心を映す「こころ葉」なのだと思うのです。その葉が風に舞うように皆さまの心に届き、そして願わくば、本展が自然風景の風情を未来に残し伝えるものとなれば幸いです。

本展の写真は全て描写力の高い中判フィルムカメラで撮影しています。ぜひ、その色彩の豊かさ、空気感を存分にお楽しみください。

林 惣一

• ～彩あわせ～　林　惣一