世界中からやって来る観光客で賑わうヴェネツィア。
その裏側には運河と共に暮らす人々の日常があります。船あるいは徒歩による移動・運搬手段しか持たないこの街では、現在も運河による水運が市民生活を支える重要な役割を担っています。
かつて東京の川にも水運を担う様々な船が行き交い、人と水がもっと親しみながら暮らしていた時代がありました。
少年時代を深川の運河沿いで過ごした私には、ヴェネツィアの運河風景は、既に多くは変容してしまった深川の原風景と重なって見えてしまうのです。
そんな運河の日常を1990年頃から、ヴェネツィア本島のみならずイタリア本土側を含めたラグーナ各地(半径約100キロ程度)に訪ね歩いてきました。
中世に栄華を極めたヴェネツィア共和国。
亡国の混乱から現在のイタリアの一都市になるまで、栄枯盛衰という大河に逆らうことなく、淡々と生き続けてきた運河の情景をご高覧いただければ幸いです。
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