ニュースリリース
抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」
ギニアのエボラ出血熱対策を目的とした日本政府からの緊急無償資金協力の調達物資に採用
2016年6月14日
富士フイルム株式会社
富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」(*1)(一般名:ファビピラビル、以下「アビガン錠」)が、ギニアのエボラ出血熱対策を目的とした日本政府からの緊急無償資金協力(*2)の調達物資の一つに採用されたことを、お知らせいたします。
2014年から始まった西アフリカでのエボラ出血熱の流行は、昨年12月に世界保健機構(WHO)より終息宣言が発表されましたが、ギニアで本年3月に新たなエボラ出血熱の感染者が確認されました。これを受けて、ギニア政府は、日本政府に対して「アビガン錠」の提供を要請。日本政府は、緊急無償資金協力の調達物資として、富士フイルムより「アビガン錠」約2,000人分を購入し、ギニア政府に提供することを決定しました。今後、「アビガン錠」は、エボラ出血熱に感染した患者の治療に使用されます。
「アビガン錠」は、富士フイルムグループの富山化学工業株式会社が開発した抗インフルエンザウイルス薬です。エボラウイルスに対しても抗ウイルス効果を有するとのマウス実験の結果が公表されており、エボラ出血熱感染拡大の中で、欧州にて複数の患者に緊急対応として投与されました。さらに仏Inserm(*3)が、2014年12月~2015年5月にかけてギニアの4か所のエボラ治療センターにてエボラ出血熱に対する臨床試験(*4)を実施。ギニア政府は、本試験の最終解析結果(*5)を受けて、「アビガン錠」投与をエボラ出血熱に対する標準療法として決定しています。
富士フイルムは、エボラ出血熱の対処に向けて、今後も引き続き、ギニア政府、日本政府と協力していきます。
*1 富山化学工業株式会社が開発した薬剤で、日本で抗インフルエンザウイルス薬として2014年3月に薬事承認を取得している。
*2 日本政府(外務省)が、海外における自然災害や紛争の被災者・難民・避難民などを救済することを目的として被災国政府に対して緊急的に実施する無償資金協力。
*3 Institut national de la santé et de la recherche médicaleの略。Insermが主体者として、ギニアでの臨床試験を実施。
*4 本臨床試験は現地語で「希望」を意味するJIKI試験と命名され、EUからの資金助成をInsermが受け、ギニアの4か所のエボラ治療センターにて、エボラ患者に対する医療を提供しているNGO(MSF[国境なき医師団]、ALIMA[Alliance for International Medical Action]、フランス赤十字)の協力を得て実施された。
*5 最終解析結果を含めた論文が、本年3月に臨床医学の学術誌「PLOS Medicine」で発表されている。
<最終解析結果のポイント>
- 投与症例126例で「アビガン錠」との関係を疑わせる重篤な有害事象は全く観察されず、安全性が確認された。
- 治療開始時のエボラウイルス量が中程度から高い患者群(55名)において、死亡率が3分の2に低下し、「アビガン錠」がエボラ出血熱に対して有望(encouraging)であることが示唆された。
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