ニュースリリース
エボラ出血熱に対する「アビガン®錠200mg」の臨床試験(中間解析)で有効性が示唆
2015年2月24日
富士フイルム株式会社
富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)が、ギニアでのエボラ出血熱に対する臨床試験に提供している抗インフルエンザウイルス薬「アビガンR錠200mg」(*1)(一般名:ファビピラビル、以下「アビガン錠」)の有効性が示唆される臨床試験の中間解析結果が、フランス国立保健衛生研究機構(Inserm)(*2)より、本日発表されました。
【発表内容】
- 治療開始時のエボラウイルス量が中程度から高い患者群(*3)において、試験開始前3か月間の同じレベルの基礎療法(basic care)(*4)での治療結果と比べて死亡率が半減(30%→15%)し、有望な結果となった。
- 治療開始時のエボラウイルスが非常に高い患者群(*5)では、来所時81%に高度の腎機能障害が認められ、「アビガン錠」投与による死亡率減少のシグナルを見出すことはできなかった。
- インフルエンザ治療に比べて高用量で10日間投薬したが、有害事象は観察されなかった。
本結果の詳細は、シアトルで開催されているConference on Retroviruses and Opportunistic Infections(CROI)会議にて2月25日(現地)に発表される予定です。
「アビガン錠」は、富士フイルムグループの富山化学工業株式会社が開発した抗インフルエンザウイルス薬で、エボラウイルスに対して抗ウイルス効果を有するとのマウス実験の結果が公表されており、既に複数のエボラ出血熱患者に緊急対応として投与実績を積んで参りました。その後、昨年12月17日からInsermが、ギニアの4か所のエボラ治療センターにて「アビガン錠」のエボラウイルス感染患者に対する有効性を調べる臨床試験を実施してきました。(*6)今回、この臨床試験における、最初の80例の中間解析結果が公表されたものです。
「アビガン錠」のエボラ出血熱に対する有効性が示唆されたことをふまえて富士フイルムグループは、引き続き、エボラ出血熱の感染終息に貢献するとともに、治療法確立に向けて、フランス政府やギニア政府、日本の関連当局に全面的に協力していきます。
また、日本政府は、エボラ出血熱に対して、日本の企業が開発した治療に効果の見込める薬を提供する準備があることを表明しています。富士フイルムは、日本政府と協議しながら、感染者のいる各国からの要請に応えていきます。
*1 富山化学工業株式会社が開発した薬剤で、日本で抗インフルエンザウイルス薬として平成26年3月に薬事承認を取得している。
*2 Institut national de la santé et de la recherche médicaleの略。
*3 血液1mL中のウイルスコピー数が108以下。
*4 栄養や水分を補給する治療法を指す。
*5 血液1mL中のウイルスコピー数が108以上。
*6 本臨床試験は現地語で「希望」を意味するJIKI試験と命名され、EUからの資金助成をINSERMが受け、ギニアの4か所(Guékédou(ゲケドゥグ)、Nzérékoré(ンゼレコレ)、Macenta(マセンタ)、Conakry(コナクリ))のエボラ出血熱治療施設にて、エボラ患者に対する医療を提供しているNGO(MSF[国境なき医師団]、ALIMA[Alliance for International Medical Action]、フランス赤十字)の協力を得て実施されている。
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