|
かつて大宅壮一氏は「男の顔は履歴書、女の顔は請求書」と表現しました。彼は私が尊敬するジャーナリストのひとりです。それ故にこそ、この言葉に私は疑問を抱きつづけてきました。顔は人間の過去、現在、未来の生き様を国境、ジェンダーを超えてもっとも強く表現していると、私自身の30年を越す写真キャリアの中で強く感じてきたからです。土門拳氏や秋山庄太郎氏など、多くの写真家たちが女性の肖像を撮ってこられました。しかし、女性が撮る女性像は、先輩の男性写真家たちとは違う、被写体の内面的な何かを共有しながら表現できるのではないか、と思い続けてきました。
1998年3月、婦人公論リニューアルを機に、私の長い間模索してきた思いが「beautiful age いま、自分と出会う」として2000年9月まで連載しました。瀬戸内寂聴さん、田辺聖子さん、秋野不矩さんなど30人の美しく齢を重ね自然体で輝いて生きる女性たちとの出会い。撮影を通じて強く感じたのは、彼女たちの自分に対して厳しく、人と地球にやさしい生き方です。写真は歴史の証言。ジェンダー、国境を超えて21世紀へのすてきな贈り物、メッセージとなることを信じています。ぜひ、ご高覧ください。
|
吉田 ルイ子 |
|