ニュースリリース
台湾政府機関が抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の備蓄を決定
富士フイルム 台湾に「アビガン錠」を供給
2015年7月22日
富士フイルム株式会社
富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、台湾の感染症対策を行う政府機関である衛生福利部疾病管制署(Centers for Disease Control, R.O.C(Taiwan)、以下 台湾CDC)が抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」(一般名:ファビピラビル、以下 「アビガン錠」)を備蓄することを決定したことを受け、7月13日に同署へ「アビガン錠」を供給したことをお知らせいたします。今回の備蓄は、台湾でヒトへの感染の危険性が高まっている鳥・豚インフルエンザおよび新型インフルエンザの治療薬として台湾CDCが台湾国民のリスクに備えるものです。「アビガン錠」は、現時点で台湾衛生福利部食品薬物管理署から製造販売承認されてはいませんが、台湾CDCは「アビガン錠」の持つ新しい作用メカニズムなどを評価し、「アビガン錠」の特例輸入を決定しました。
「アビガン錠」は、富士フイルムグループの富山化学工業株式会社が創製したもので、平成26年3月に国内で製造販売承認を取得した抗インフルエンザウイルス薬です。国内臨床第III相試験の実施において、国際共同治験として台湾でも被験者を組み込んだ実績があります。
インフルエンザウイルスは、感染した細胞内で遺伝子を複製し、増殖・放出することで他の細胞に感染を拡大します。既存薬は、増殖したウイルスの放出を阻害して感染の拡大を防ぐノイラミニダーゼ阻害剤ですが、「アビガン錠」は、既存薬とは作用メカニズムが異なり、細胞内でのウイルスの遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐRNAポリメラーゼ阻害剤です。「アビガン錠」は、この新しい作用メカニズムから、各種鳥インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス作用が期待されており、実験動物レベルではすでに効果が確認されています。
現在、鳥・豚インフルエンザウイルスは、ほとんどの場合、ヒトに感染しないものの、ヒトへの感染時に通常の季節性インフルエンザウイルス(H1N1など)と混ざり合い、ヒトへの感染力を持つ新型インフルエンザウイルスへと変異することで、パンデミックに繋がることが懸念されています。このような中、富士フイルムは、台湾政府機関が「アビガン錠」を備蓄することを決めたことを受け、本剤を供給しました。「アビガン錠」を備蓄用途として供給するのは今回が初めてとなります。供給した「アビガン錠」はヒトが鳥・豚インフルエンザや新型インフルエンザに感染した時に使用され、また実際投与された場合には、その情報が富士フイルムに提供されます。なお、供給は、台湾CDCから「アビガン錠」の輸入委託を受けた、現地製薬大手の生達化学製薬股份有限公司(総経理:范滋庭)を通じて行っています。今後、富士フイルムは、生達化学製薬股份有限公司と提携し、台湾での製造販売承認の早期取得を目指していきます。
富士フイルムは、化合物の合成力・設計力や解析技術、ナノテクノロジーなど、写真フィルムなどで培った技術・ノウハウと富山化学工業などの医薬分野のグループ会社の技術を結集・融合させ、画期的な医薬品を開発、提供していくことで、社会課題の解決に取り組んでいきます。
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